高校の家庭科の授業で投資に関する授業を2022年4月に開始するようだ。
調理実習や裁縫に加え、投資が割り込んでくるとなるとかなり異質な存在だ。
政治・経済の方が親和性があると思うのだろうが、家計という観点からすると家庭科でも不思議ではない。
但し、気になるのは家庭科の授業を受け持つのは女性のイメージがあり、男性に比べて投資に消極的だ。
ジェンダー論に敏い方にお叱りを受けそうだが、実は男女の投資リテラシーの違いや投資行動には明確に差があるエビデンスが存在する。
気になる方は以下へ
https://www.tr.mufg.jp/shisan-ken/pdf/kinnyuu_literacy_02.pdf
因みに、家庭科の授業で扱うことになる投資の内容は
成年年齢の引き下げなどにより,自立した消費者の育成,若年者の消費者被害の防止・救済のため,より一層の指導の充実を図る。預貯金,民間保険,株式,債券,投資信託等の基本的な金融商品の特徴,資産形成の視点にも触れる。例えば,給与明細を教材に,可処分所得や非消費支出など家計の構造や収入と支出のバランスについて扱った上で,高校卒業後の進路や職業も含めた生活設計に基づいて,具体的にシミュレーションする,住宅ローンに関する費用と関連付けるなどの工夫も考えられる。
2018年 新教育課程 学習指導要領 ポイント解説(家庭)http://www.daiichi-g.co.jp/kyoka/skk/886369.pdf
株式・債券・投資信託まで言及するのは喜ばしい。
株というとギャンブルやバブルのイメージが抜けない年齢層がいる影響で、未だに日本の家計部門は投資の比率が低い。
教育に依ってマネーリテラシーの底上げになれば、将来の日本は明るい。
投資は基本的に参加者がwin-winになるから参加者の増加は歓迎すべきことだ。
また、家計の収支の把握についてはこれまでも記事の中で重要だと主張してきたので、高校時代にその知識を得られると本人にもプラスになって返ってくるだろう。
更には
金融庁は教育現場の準備をサポートする取り組みの一環として、学校の先生を対象にした初めてのイベントを年内にも開く。つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)や個人型確定拠出年金(iDeCo)といった税優遇制度のほか、「長期・分散・積み立て」投資の効果について理解を深めてもらうのが狙い。先生が自身の資産形成を始めるきっかけづくりにもする。
高校家庭科で「投資信託」 22年4月から授業 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51840730W9A101C1000000/?s=3
教える側が実際に投資を行うのと行わないのとでは、教え方に差が出てくる。
投資に否定的な先生だったら、本人は仕事と割り切って教えてるつもりでも教えられる側は否定的な部分を感じ取ってしまう可能性がある。
国が節税について教えるのは些か不思議な感じもするが、一時的な減収効果よりも投資が活発化して得られる譲渡益への課税が上回ることへの期待や投資に依る低所得者層の減少で国の負担減を見込んでいるのだろう。
これは正しく朗報と言える。
来年実施後の反応に期待したい。
コメント